北京大学【予科】blog①∼攻略編∼ 誰も教えてくれない予科項目の仕組み・体験談
北京大学外国人枠 の紹介
2020年、私は北京大学に正式に入学しました。今回のブログではそれまで在籍していた予科項目の紹介と同時に、実際の予科生活や、パンフレット・ホームページには載っていない事を私の体験談とともにシェアしたいと思います。
*ここで書く内容はあくまでも北京大学の予科生項目(医学部とは無関係)なので、中国すべての大学に該当するとは限りません。参考程度にお読みださい。
*かなり長めのブログになっています
北京大学に本科(4年制)に留学するには基本的に
- 留学生入試を受ける
- 中国政府奨学金を取る
- 預科に入る
の三つの方法があります。
留学生試験を受けて入学するタイプの留学生は高校や中学をすでに中国で生活してたりする人が多いので、独学で中国語を取得した人がそこで競うのは少し難しいのかなと思いました。
日本の高校を出てそのまま本科に入る人の中には中国政府奨学金で入る人もいます。ただこれも確率が低いのかなと思いました。この方法で入った人は今の所2人しか知らないです。
というような感じで、中国語力はHSK6級以下で奨学金もまだ貰えるか分からない!という人は預科も考えてみてはどうでしょうか?
予科とは?
まずはざっくり予科が一体何なのか紹介したいと思います。前回のブログでも書いたのですが
<前回のブログ>
予科項目は 中国の大学に正規入学する留学生の為の語学コース なので、日本の大学に籍がある状態の交換留学や語学留学とは少し違います。
交換留学は前期に中国語を学び、後期に中国語か英語で専門の授業を受ける1年間の留学タイプ。
語学留学は語学を学ぶためだけの留学タイプ こちらも大体1年 英中翻訳クラスや新聞読解クラスなどがあるみたいです。
予科では何をするかというと、ひたすら中国語を勉強します
語学留学の目的は主に「中国語ができるようになること」なのに対して
預科項目の目的は「中国語のレベルを大学の講義で太刀打ちできるレベルまでもっていくこと・中国人と共通の中国文化知り、本科入学時に現地生と早くなじめられるようにすること」です。
なので
予科生は中国の大学に入ることを目標に1年間頑張ります。また予科生は希望する本科での専攻によって数学の授業を受ける必要があります。数学に関してはまた後程!
本科に受かる確率
よく「予科に入ると90%くらいの確率で本科に上がれる」っていうのを聞くのですが(私も先輩から聞いた)実はここには落とし穴がありまして、、
「基本情報」の所にも書くのですが、予科は毎年100人近い生徒がいます。本科に上がれるのはそのうちの半分です。
では落ちてしまった人たちはどうするかというと、他大学を受けたり、国に帰ったりなど様々なのですが、一番多いのはもう一年予科を修復する事です。
予科は最長二年間在籍が可能なので「予科に入ると90%くらいの確率で本科に上がれる」というのは二年目の存在があるからなんですね。
大学側も二年目の人を優先的に合格させてくれるので、予科に入ってあきらめなければ本科に入れるというわけです。
カリキュラム
基本情報
学期:二学期制 9月初めで6月に本科入試
全体人数:100人弱 *春期の学生込みで
北京大学合格人数:50人弱
日本人数:5~10人ほど
寮:中关新园 二人部屋
科目:口语课/读写课/汉语课/专业汉语(5班以上)/中国文化讲座课(任选)/数学课(任选)
クラス分け(中国語):初日の中国語能力テストを基準に7つの班(7班が最高レベル)に分けられる。
クラス分け(数学):上の中国語のクラス分けで4班~7班に振り分けられた人は数学のクラス分けに参加する資格が与えられる。また、こちらは高級と基礎に分けられる。
時間割
・オフライン
・オンライン
周一 汉语 朝2時間
周二 口语 朝一時間 夜一時間
周三 读写 朝2時間
周四 专汉 朝2時間
テストの点数は低かったけど、個人的には姚先生の专汉が一番好きでした。
专汉では一学期に詩を勉強して、二学期では経済法律or政治外交もしくは古代中文など自分が受けたい授業を選択することになります。
私の時は中文の人気がなくて上の二つだけ開講されました。
経済に興味があったのと姚先生の授業が好きという事もあって私は経済法律選択しまし
た。
その他にもオンラインの時のスピーキングの授業は特殊で、朝の一時間は先生がグループチャットにひたすらボイスメッセージで単語の解説だったり教科書の朗読を1時間分送ってくれました!😭
←(実際の画像)
オンラインの場合、文化讲座课がなくなるので多少時間に余裕が出ます。
予科も沢山細かい宿題とかがあって忙しかったけど、今となっては時間があるうちに英語を強化したり中国語の本を沢山読んでおけばよかったな っていうのが少しあります、、
あともし始めたいことがあったら挑戦してみること!
中国語の本については、今度本科の授業で読んだ本たちをブログで紹介しようと思います!あらかじめ読んでおけば本科に入った時に楽だと思います。
数学レベル
- 受講は強制?
数学の受講は必須ではありません。
数学は自分の行きたい学部によって受ける必要があります。パンフレットによると予科生は24の学部を選ぶことが可能で、数学が必須なのかは以下の通りになります。
N班(数学不要):中国语言文学系,历史系,艺术学院
E班(数学基礎クラス):国际关系学院,考古文博学院,哲学系,政府管理学院,新闻传播学院,社会学系,法学院,元培学院(根据培养计划确定)
S班(数学高級クラス):数学科学学院,工学院,物理学院,信息科学技术学院,化学与分子工程学院,生命科学学院,地球与空间科学学院,环境科学与工程学院,经济学院,光华管理学院,心里学系,城市与环境学院,信息管理系
元培は少し特殊で、入ってから所属する学部を決めるので数学もそれによります。
また、S班は24個すべての学部の選択が可能で E班はN班の学部も選択が可能です。
- 数学レベル目安
E班は数学ⅠⅡABレベルで三角関数、確率、条件、数列などが主な内容です。場合によっては微積分に入る事もあるので文系の人は日本語で少し予習しておいた方がよさそうです。
S班は数Ⅲを理解しているていで授業が進んでいき、中盤からは大学数学に入っていくので文系の人は要注意です。ただ去年オンラインになってから少し簡単になった!って言ってる人もいたのでこれは運です(笑)(先生によって授業内容が変わる可能性があります。)また理系の人でも中国語で数学の専門用語にある程度慣れていないと初めの方でかなりつまずくので、中国語の数学に耳を慣らしておくことをおススメします
因みに、私は初めのクラス分けでE班に受かったのですが、当時は会計をやりたかったのでS班のクラスを受けたいと先生に直談判しS班に入れてもらいました。
でも全く授業が理解できず、冬休みを使って予習しても全く歯が立たなかったので2学期の2週目くらいにまたE班に戻ってきました。(笑)
宿題も結構出るので、今思えば初めからE班で授業を受けて数学にかけていた時間を中国語に回していればなと少し後悔…
因みにE班の内容は途中からでも全然ついていける内容でした!
文系でも理系でも行きたい学部がまだ見つかってない人はとりあえずE班をお勧めします。
もうすでに予科への入学が決まった方で、予科で使う数学の教科書を見てみたい方はPDF版の教科書があるのでお渡しします!
中国語
- 中国語クラス分け目安
1班:全くできないか、ほんとに基礎レベル
5班:HSK4級or5級レベル、純粋な留学生の割合が多い、華僑が3割ほどいて、クラス全体的にスピーキングに少し癖がある。頑張れば留学経験がない独学者でも入れるレベル。
6班:HSK5級or6級レベル、中国での生活経験がある人、もしくは独学でめちゃくちゃ中国語頑張った人がいる。基本的にアジア圏の学生が多い。
7班:阅读听写口语すべての面でネイティブに近いレベル。マレーシアだったり、すでに中国語圏での生活・留学経験がある人が多い。
というような感じでした。
ただ、レベルは毎年入ってくる学生次第なのでクラスレベルの基準はその時によって変わります。これは当時私が予科にいた時の体感です。
特に印象的だったのが、私が在籍時の7班はかなりレベルが高くて毎回大きなテストで100点近い点数を取り、先生たちにも「もう教えることがない。この一年間は予科生活を楽しみなさい」と言われてたことです。
そんな7班を含む予科生は、6月にある统考で100人中50人弱しか受からない本科への道を奪い合うことになります。
- クラス替えについて
冬休み明けに上のクラスに上がる事を申し込むことができて、中国語科目を全教科90点以上取れていれば担任から推薦がもらえて
それ以外はテストを受ける必要があります。
実際に123班から3,4人くらいこれで上のクラスに上がる人がいました。
大体みんな一つ上のクラスに上がってました。
本科合格枠
1年の予科生活で本科に上がれるのは基本5~7班と言われています。理由は簡単で统考の難易度がHSK6級より遥かに難しいからです。
じゃあ入学時に5~7班に食い込めばいいのか?と言ったらそう言うわけでもなく、
本科合格枠は、まず奨学金生から優先的に埋まっていくので実費生の合格枠は実質25~35人とも言えます。どういうことかというと、5~7班に入ったとしても奨学金を受けていない学生は合格率が少し下がるという事です。
他にも、私が先輩から聞いた話だと「各班から平等に成績優秀者からとっていく」とか「国籍も見る」など審査の基準があるみたいです。
でもどちらにしろ最後の统考で合否は9割決まるので、本科に受かるには统考頑張るもしくは奨学金取るです。
予科生の升本攻略
予科生よ、中国政府奨学金に必ず応募せよ。
ではなぜ奨学金生は優先されるのでしょうか?
“学費・寮費・保険費が免除“な上に“生活費も支給される”で有名な中国政府奨学金ですが、私が予科生にこの奨学金を推す理由は経済的な理由だけではありません。
なぜかというと中国政府奨学金は受け入れ大学が決まることも選考基準の一つになっているので、奨学金合格=大学側もその生徒の受け入れを確認 ということになります。
なので中国政府奨学金の獲得者はほぼ本科生になることが確定されているのですが、それと同時に予科期間内にHSK6級にも合格する必要があります。
でもだからと言って奨学金とHSKがそろえば必ず本科に上がれるわけでは無なく、普段の授業態度や数学の成績,统考の結果が著しく悪い場合は奨学金自体取り消されることがあるので注意は必要ですね。
<中国政府奨学金について>
中国政府奨学金 | 中国 | 外国政府等の奨学金 | 海外留学のための奨学金 | 海外留学支援サイト
北京大学や清華大学は奨学金が通りにくい?
これは最近よく聞かれるのですが
大学側に出願はせず、奨学金だけしか申し込んでない場合に希望大学が北京大学や清華大学だと通りずらいだけで、大学側にも出願を出している場合は奨学金が通りにくい事はないです。
そもそも北京大学にも奨学金に受かった人は結構いるので安心して!
なので中国政府奨学金には希望する大学に各自で申請する必要はない 的なことを書いてあるかもしれないですけど、奨学金だけでなくしっかり希望する大学にも出願しておいた方が勝率は高いです。
大学の申請費結構高いけど、4年分の学費と比べたら安いから惜しまずに、、!
中文系は奨学金が通りずらい
私の周りを見ると奨学金を申請する時は、本科での希望専攻科目を中文系以外にしておいた方が受かりやすいのかなと思いました。
というのも当時私と一緒に奨学金を申請した中文系の子たちは皆受からず、光華で申請した私だけが受かりました。これは多分日本人留学生が中文系に固まりすぎてるからなのかなと思います。
ただ、次の年で皆受かってたので絶対という訳ではないかもしれません。
因みに予科から上がる日本人は中文系か国際関係学院に行く人がほとんどで、去年だけは社会学部やメディア学部、元培など結構幅広くそれぞれ進路が割れました
<経験談>
数学の所でも話した通り、私はもともと会計を学びたかったので奨学金は光華で出していたのですが、数学が無理すぎて予科二学期に行われる大学側の進路希望調査で違う学部を書いて提出しました。この時は「今年の奨学金はあきらめよう」と思っていたのですが、結果問題なく奨学金をもらうことができました。
留办が言うには,予科生の進路は、どの学部で奨学金が受かろうと最終的な進路は大学側が決めるので大きな問題はないらしいです。
予科体験談
辛い思い出は留学において必ずついてくるものだと思うのですが、私はそれ以上に愉快な体験の方が多かったです。
私のクラスはロシア・ドミニカ・韓国・タイ・バングラデッシュ・トルクメニスタン・ボリビア・日本・カーボベルデ人などで構成されてて、予科でも結構国際的なクラスでした。なのでよく皆それぞれ自分の国の料理を持ち合わせて一緒に食べたりします。
私はたまたまマルちゃん焼きそばを持ってきていたので
焼きそばを作ろうと思ったのですが、あまりにも急に決まった集まりだったのでベーコンしか材料がありませんでした。ただトルクメニスタンの子に「まさか豚肉入れるつもり…?」と聞かれてムスリムは豚肉NGだという事を思いだし、具なしの焼きそばになりました(笑)おいしかったです
写真左の手前にあるのが具なし焼きそば
他にも週末は誰かの部屋に集まってお酒を飲んだり北京を観光したりしました。
また、学校側は予科生に向けて最後の卒業旅行に一泊二日のモンゴル旅行に連れて行ってくれます。
私の時は大雨が降って乗馬や登山、キャンプファイヤーなどほとんどの予定がキャンセルになったのですが、それでもなぜか楽しかったし景色はめちゃくちゃきれいでした。
こんな感じで細かいことはまた生活編、勉強編あたりで書こうと思います。
留学生寮
3号楼
予科生は全員“中关新园”と言う北京大学の留学生寮 に入居する事が義務付けられていて、基本奨学金生が6号楼、実費生は3号楼です。
3号楼の場合は 「リビング1/個室2/ユニットバス1」の部屋に4人で住みます。1個室二人で、ルームメイトは学校側が決めます
実際に私が住んだ部屋はこんな感じ!(3号楼)
(個室)70元/1日/1人 +水道代、電気代
1つの個室を二人で使います。かなり狭いので、くれぐれも私みたいにキャリーケース4つで来ないように..
私は服を大量に持って行ったのですが、結局淘宝で買うので後悔しました。
因みに、持って行って良かった物は、チャート式です。
日本語の本以外は大体淘宝でそろいます。
(左手に持ってるのはタオバオで購入した洗濯籠)
(ベットとつくえ)
(リビング)公式ホームページより
リビングは結構広くて、私たちの場合は 物干し竿2,水タンク1,中冷蔵庫1,小冷蔵庫1 を置いてました。
写真には写ってないけどユニットバスも左側にあります。3号楼の場合は1部屋に1つユニットバスがついてるので、比較的好きな時間帯にお風呂に入れるのがメリットですね
また、個室と玄関の両方のがオートロックになっていて、個室はそれぞれ住んでいる人しか開けられないようになっているのでセキュリティー面ではかなり安心できました。
また、キッチンと洗濯機はフロア共有で、キッチンの水と洗濯機のお金はルームカードに課金していくシステムです。
以上実費生の部屋でした~!
次は奨学金生の部屋です
6号楼 奨学金生
これも実際に住んでた部屋です!
(大部屋)費用免除
6号楼は中国政府奨学金,孔子学院奖学金,一带一路奖学金… などの国や大き目の組織?が関係した奨学金生が住む寮で、3号楼と比べてめっちゃ広いです!
あと水道代や電気代もどんなに使っても費用がかからないので助かります。
私の部屋はどちらかというと狭い方なのですが、一年間3号楼で暮らした後なので凄く開放的に感じました!
部屋の解放感に感動して初日に何枚も写真を撮ったのを今でも覚えてます笑
他にもまだ沢山写真があるけど、それはまた今度!
因みに6号楼はリビングがなくて、玄関挟んですぐ廊下です。また、3号楼と違ってお風呂とトイレがフロアで共有になってます。キッチンと洗濯機は3号楼と同じで、課金が必要です。
以上、中国政府奨学金生の部屋はこんな感じになります。
(*交換留学や短期留学の場合は違う塔になります)
私の経験では同じ2人部屋でも奨学金生の方が断然広くて少し清潔(浴室が)な感じがします 。ただトイレと浴室がフロアで共有の上に部屋から遠いのがネックです…
一人部屋について
1人部屋もあるのですが、人気なので中々予約が取れないのと値段が結構高くなります。一人部屋は元々大学院生?向けなので本科生や予科生は取りずらいです。
予科生にも関わらず一人部屋をとれた子は、半年間寮母さんの所に通い詰めて部屋を獲得したらしいので、どうしても1人部屋がいい場合はまず寮母さんと仲良くなりましょう。寮母さんは一号楼の一階の事務室にいます。
因みに二人部屋でもルームメイト来なくて、結果的に大きな部屋に一人で住むことになる人も結構います。
一人部屋の一日の費用は大体110元ぐらいです。
ps、そういえば予科生でも一人部屋に振り分けられることがありました!
確か実費生の日本人に一人、3人部屋で一人ずつ個室があるタイプ部屋に振り分けられた人がいました。でも部屋の大きさは三号楼の所で書いた個室と変わらず、ただベットが一つだけになっただけなので、上で書いた一人部屋と大きさや間取りが全然違います。
最後に
予科には自分の国で一度大学に入ったけど中国に語学留学したらそのまま中国に残りたくて予科に入りなおす。なんて人が結構います
中国に留学を考えている人は語学留学や本科留学だけでなく予科も視野に入れてみてはどうでしょうか?
次回は予科のうちに読んでおいた方がいい本かなんかをブログに書こうかなと思います
あ、あとこのブログも完結していないのでその続きも書きます!
とりあえず今回のブログはこんな感じで~!